WBはあと1マス左に出したらベストだったね | 泣くなぐ |クラクラ

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R1


君が泣くまで殴るのをやめない─

それは、命の危険も顧みず
クラクラネタの研究に挑む熱きポチョムキンの魂の記録である!!

あのね。
俺はクラクラは好きだけど 「遊びでクラクラやってんじゃねぇ!」 というのは違うと思うの。
大戦嫌いなの。もっかい言う。

大戦嫌い。



哲夫は今年46歳。
産まれて今まで一度も女性と付き合ったことが無い。

もともと人と話すことが得意ではなかったが女性との経験の無さが更に哲夫の心を閉ざした。

 

サービス残業の帰りに哲夫は駅前の本屋で「月刊茶柱」を購入したあと
JR環状線に飛び乗り電車に揺られながらクラクラを起動する。

 

良子は今年26歳。
先月6年間付き合った彼氏と別れた。
ろくに働きもせず、良子の部屋に転がり込んだ男は毎日携帯ゲームをするか、寝るか、良子を求めるかだった。

「あんな男、ふって正解だったわ」

良子はそう言いながら、クラクラを起動させる。
通勤中にクラクラをやってしまうのは別れた男の影響だったが今では彼女の大切な趣味となっていた。



「♪ダダダダん!!!」

 

 

哲夫は慌てた。
消音にしているハズなのにクラクラの起動音が。しかも大音量。
しかし程なく自分ではないことに気付く。

ふと前を見ると恥ずかしそうに「すみません」と会釈する女性が。

彼女がクラクラを‥‥
哲夫は考えるより早く彼女の後ろに立ち、彼女のスマホをそっと覗いた。

びっくりした!恥ずかしい。
良子は慌てた。

いつもミュートにしているのに何かの拍子にスイッチが入っていたのだろう。
気を取り直して大戦の二回目出撃。
次のアプデで終了のウワサのクイヒーだ。ヒーヒー言わせてやる。

よし、前半のクイヒーは上手くいった!相手はヒーヒー言ってるだろう。
次はゴレ。上手く穴を開けて‥‥

「フーフー そこは‥」

なにか生暖かい息が首筋にかかる。

いやだ、痴漢。

直感的に悟った良子だったが身体が動かない。
怖い怖い怖い怖い。
誰か助けて。

哲夫は興奮していた。20代の髪の匂いに‥違う。
自分と同じクラクラをしている人間を電車で見かけたことに。
しかも若い女性だ。
俄然興味が湧いてくる。

話しかけるべきか、否 自分に見ず知らずの女性に話しかけるスキルなんてあるハズもない。
どうやら大戦のようだ。村を見るとなかなかやりこんでいるのがわかる。
折角なので観戦しよう。哲夫はもう少し彼女に近付く。
よく画面が見える位置に。
その女性の攻撃はどうやら星2どまりだ。

と、思った刹那腕に激痛が走る。

痛い。

「おっさん、いい歳して痴漢なんて恥ずかしいよ。」

哲夫46歳。

大勢に取り押さえられた。
何が起こったかわからなかったが、おびえた女性が「死んだ魚の眼」で自分を見つめていたことだけ覚えている。



会社に知れたらクビだろうか。

哲夫はどこか他人事のように自分に今起こっている「痴漢誤認逮捕」という事実を受け止めていた。
良子はおびえた様子で、しかし腐ったイチヂクでも見るような眼で哲夫を睨んでいる。
駆けつけた警察は執拗にそして異様な圧力で哲夫に自供をもとめた。

哲夫は凍り付いた。

何故だ。
何も悪いことしてないのに。
ずっとずっと彼女も居なかったのに。

神様、あなたはこんな酷い仕打ちを僕にするのですか。

奥歯がガタガタ鳴った。
怖い。
逃げ出したい。

足が震え、冷たい汗が背中をつたう。

こいつが、この女さえいなければこんな目に合わなかったのに‥
「きみ、きみ!素直に認めなさい。認めさえすれば場合によっては早く家に帰れるんだ!」

これが俺たちを護る警察官か。
哲夫は失望した。
そして自分でも何故かわからないまま、自然にある言葉が浮かんだ。

「う‥」

「う?う‥なんだね?」

「WBはあと1マス左に出したらベストだったね」

「‥??」
「何を言ってるんだけどきみは?頭がおかしくな‥」

「待って!」

良子が警察官を遮った。

「私としては左の対空砲を警戒し、さらにゴーレムが最悪左に少しそれることを想定したんです。」

「その結果が星2ですよ。」

「‥‥!!」

哲夫と良子のクラクラ歯車が、いまピタリと重なり。ゆっくりと動き始めた─

 

Quwrof

Quwrof

右投げ右打ちのサイドスロー中継ぎ投手。

座右の銘は「人のにぎったオニギリは味わわない」
とにかく早々に口腔を通過することに専念する。

クリプロのコンダクターでいて、LinkJPクラングループのリーダー。

特技は、活きたイカを殺すこと。
2本の指で確実に仕留める、イカ最大にして最強の敵。

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