1st.walker『さびれた星は孤独に流れた』

この記事は約4分19秒で読めます

R10
  • 失礼します。
    しゃあtheSkywalkerです。

 

結婚しても両親と
同居しない夫婦が増え
核家族化が進む現在

老いてきた親の面倒を
誰がみるのか。

切実な問題となっています。

クロロ
今回は
そんな話ですか?
しゃあ
はい。
その悩みを抱える
あるサラリーマンの話です
しゃあ
それでは一緒に
覗いてみましょう

 

yjimageCA3KA940
が暮れても緩まない暑さに
僕は初夏の訪れを感じながら家の中に入った。

 
「おーい、来たよ~!上がるね~!」

 
何年前からだろう。実家に帰ってきても
「ただいま」と言わなくなったのは。

車で20分、と近くに住んでいるのに
随分遠くのように感じる。

 
「今日は暑いねぇ!なんか飲ませて~」
 

台所では母が食事の準備をしていて後ろ向きのまま返事をした。

 
「どうぞ、ご勝手に~。何~あんた1人?」

「うん」

僕は冷蔵庫を開けながら答えた。
中にはジュースや炭酸飲料が数本入っていた。

「こんな甘ったるいもんばっかり…」

と言いかけてやめた。
奥に冷やしてあるゼリーを見つけたからだ。
子供達が来ると思って用意してあったんだ。
ジュースとかも。

 
「坊主が急に熱を出しちゃってさ。俺1人で来た」

この嘘を付くのは、もう何回目だろう。

 
「あらそう…小さいうちは男の子の方が
体弱いからね。気をつけなよ」

心配そうな顔をしながらこっちを向いた。

「じゃあ、こんなにオカズいらなかったね!」

今度は笑いながら舌を出した。

 

お皿の上には山ほどの唐揚げが作ってあり、
そしてその全てが子供用のサイズに切り分けてあった。

僕はそれを見て
『ばぁの唐揚げすごくオイシイ』
と言って子供達が喜んでいた
今年の正月を思い出した。

 

「親父は?」

「奥にいるよ」

 

 

つのコップに麦茶を汲んで奥の部屋に向かった。

親父は昔から
身だしなみに気を遣っていた人だが、
もうパッと見お爺ちゃんだ。

「親父、邪魔してるよ~」

「おお、来たか。先週の運動会はどうだった?」

正直、僕はビックリした。
ちゃんと行事の日にちを覚えているんだと。

「2人とも頑張ってたよ」

「そうか、ちゃんと出来たか」

 

父は満足そうだった。

孫の行事、見に来たいだろうな。
でも僕の嫁に気を遣って言えないんだろうな。

 

 

親父たちは、いつかは今みたいには動けなくなる。
そしていつかは決断をしないといけない時期が来る。

兄夫婦?姉夫婦?
いや、どちらも借家だから引き取らないだろう。
唯一、持ち家の僕が…
でも嫁がなんて言うか。

「親父、タバコ…もう止めろよ…」

無意識に出た言葉だった。

 

「そうだ、1局打とうよ」

僕は碁盤と碁石を用意して父の対面に座った。

「お願いしま~す!」

「お願いします」

imasia_7115760_M-730x3701

 

「あ~!負けた負けた!くそ~」

は畳の上に寝っころがった。

「ここしか見てないからダメなんだ。
もっと全体を見ないと」

親父は得意そうに言い窓の近くでタバコを吸い始めた。

 

「でも俺ちょっとは強くなっただろ?」

「ちょっとな、ちょっと。ははは」

嬉しそうだった。
僕が囲碁を覚えたという事が。

勝負が長引いたので
麦茶が少しぬるくなっていた。

 

 

僕はスマホを取出しクラクラを起動させた。
クラン対戦が始まって数時間。

どれどれ戦況は如何ほどに。

 

おっ!○○さん凄い。
○○さんも安定の星3つ!

これは今回も勝てそうだな。

 

「あれ?親父、1回攻めてるじゃん?」

「ああ、お前が来る前にな。」

「え?格下相手に星1つじゃん!
何やってんのぉ!」

「あ、ああ。テスラが出てきちゃって
援軍誘導に失敗してしまったんだ」

親父はタバコを消しながらこう言った。

「ぬるい事言ってんじゃねえよ。
こんな配置、テスラばればれだぞ」

「す、すまない…]

「もっと全体を見ないと!
いろいろ想定して攻めないとダメ!」

「ごめんなさい、リーダー…」

「こんなんじゃ普通は即キックだぞ。
他メンに顔が立たないよ」

「リーダー、キックだけは…」

「それにさぁ、
この流星KIDって
名前もどうにかならない?
恥ずかしいんだけど!」

「そこは触れないでおくれ…」

親父は終始、うつむいたままだった。

 

 

親父は依然
強豪クランに在籍していた
経歴があるらしい

でも今は
そんな面影はかけらも無い。

ゲームの世界でも
老いによる衰えというのは
受け入れざるを得ないのだろう。

 

しかし、そんな親父はクランの中で
いつもチャットを盛り上げている。

メンバーの皆んなは
流星KIDが孫のいる年齢なんて
思いもしないだろう。

 

僕はスマホを手に取り
クランチャットを開いた。

流星KID
「あー!明日学校行きたくないよ〜!」

流星KID
「テストとかマジ萎えるんですけど」

親父は
いつもこんな事ばかり言っている。
「親父…盛り上げてくれるのは
嬉しいんだけどさ」

「すまない。でもウソは言ってないよ」

申し訳なさそうに
小さな声で答えた。

 

確かに親父の言うとおりだ。
ウソは言ってない。

クランの為に
やってくれているのも分かる。

 

しかし
こんな発言ばかりしているのは
いかがなものかと思っている。

いくら定年をむかえて
非常勤だとしても

親父は教師なのだから…

 

流星KID
「保健の先生、ヤラせてくんねえかな〜」

今日も
親父の発言は
孤独に流れていた…

 

 


 

しゃあ
いかがでしたか
クロロ
息子のクランで
世話になってる父親…
クロロ
哀愁を感じます
しゃあ
皆さんのクランでも
やたら贔屓にされてる
メンバーが居たら
クロロ
ああ、実はリーダーの
父親だったりしてね
しゃあ
裏ではこんな
ドラマがあるかも
知れないです
しゃあ
それでは
今回はこの辺で…
しゃあ
失礼しました

◀︎しゃあ the プロローグ「クイチー」始めました。

2nd.walker「恋のスイート糞ファーミング」▶︎

 

しゃあtheSkywalker

しゃあtheSkywalker

クラン
2っちぇJAPANのリーダー
 
2013年10月にクランに入り
2014年4月にリーダー昇格。

「自称ゆるくても勝てるクラン」
ってブログ書いてます。

著者の最新記事

関連記事

  1. A20t
  2. R10
  3. R7
  4. A3
  5. A7
  6. c25