小鳥遊の場合|泣きなぐ|クラクラ

この記事は約2分20秒で読めます

ここまでの”泣くなぐ”一気読み

「どうしてかなぁ。」
小鳥遊はつぶやく。
「どうかしたの?」
問いかけたのは夫だ。

結婚して2年。夫婦仲はいいほうだ。

そろそろ子供でもほしいな、とは思うものの、こういうのは授かりものなので自然の流れにまかせようね、と夫とは話している。

都内の2LDKのマンション。
家賃15万。
二人の給料でやっとといったところだが、贅沢しなければ十分暮らせる。

いつも仕事の愚痴を聞いてくれる、いい夫であり、クラクラ仲間でもある。

「で、何がどうしてかなぁ?」

夫にポチョムキンのことを話す。
なぜか満は首を縦に振らないことや、
ポチョムキンをフォローすることのメリットを切々と説く。

「そうだね」

優しくかえされると、なんだか適当にあしらわれているようで悔しい。

「ちゃんと聞いてよ!」

これからもずっと私の心のとげを、とってくれるんじゃなかったの?

プロポーズの言葉を思い出す。

「いまだにTh9だけれども、こないだ紅白戦で星1だったけれども、幸せにするよ、クラクラに誓う」

そういったのは夫なのに、
最近は仕事の話をしても真面目に聞いてくれない。

仕方ないと思うよ。
ポチョムキンをフォローしないことは
逆にお約束っていうか、クラクラ界隈の暗黙の了解になってるじゃん。

夫の言い分はいつも同じだ。

でも、あなたをフォローしてポチョムキンをフォローしないなんてあり得ない。

「まぁまぁ夫婦喧嘩は犬も食わないってよ」

割って入ったのは妹の聖子だ。
いつもうちに来ては晩御飯を食べて帰る。
去年大学に合格し憧れの東京に来るに当たり、私の家の近くなら、と両親に一人暮らしを認めさせたのだ。

こんな時は、アレじゃない?
結婚披露宴のDVD見ようよ。

妹はいつも私の披露宴DVDを毎回みたがるのだ。
だって面白いじゃん。
へんな祝電ばっかりで(笑)

大きなチャペルでの結婚式のあと、場面は披露宴に移る。

夫は結婚式には全く興味がなかったが
一生に一度の晴れ舞台、公開はしたくないと選んだ式場だ。

司会者が祝電を読み上げる。

「以上よろしくお願いします。(田貫)」

「今年もアワードでてくださいね(度鶴)」

「そいそいそーい。(三井)」

「僕は結婚するまで童貞でいたい。(童貞丸)」

「ご祝儀として米百俵を授ける。(夏太郎)」

「浮気するやつ皆殺し。(水)」

「おちんちんびろ~ん (天狗)」

「おめでとうございます(ハロ)」

「顔文字結婚するつって。(966)」

「なんだよう。俺じゃなかったのかよう
(これが言いたかった)(白鳥王子)」

クラクラってそんなに面白いの?
妹の問いかけに、小鳥遊良子は答える。

「哲夫さんとの出会いも、クラクラだよ。」

きっかけは確かにクラクラだが、実は痴漢がきっかけなんて言えない。

哲夫と結婚して3年、
良子はクラクラ日本公式で働いていた。

哲夫の親友、ポチョムキン推しなのは
べつに他意はない。
夫と出会う前からファンだったのだ。

「ああ、来週ポチョと会うけど家に呼ぶ?」

哲夫はいい夫だったが、最近物足りない。
ポチョムキンと会うとドキドキするなんて言ったら怒られるかな。

関連記事