TH7からのババアチャ 僕のエクスカリバー|泣くなぐ|クラクラ

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ここまでの”泣くなぐ”一気読み

 

NN20

丸丸は、呆然とそこに立っていた。
黒光りする巨大なあんま機を握りしめて。
僕は、なんてことを。
よりによって哲夫さんを性剣エクスカリバー(あんま機)で殴りつけるなんて。

よろしい。
先ずはなぜ僕がこの性剣エクスカリバーを所持するに至ったかを順を追って話そう。

はおばあちゃん子だった。

両親が教師であった為か、僕は厳しく躾けられた。確かに立派な親だったが、僕からするとペッカだ。中身が見えない空蝉。

そんな反発をおばあちゃんは黙って微笑んだ。

「丸ちゃん、お父さんを悪く言うもんじゃないよ」

何を言っているんだこの人は…。
貴女だってこのペッカにひどい目にあってるだろうに。

「クラクラスペースの資金くれろ?ああん!?人気維持にはスペース成功は必須なんだよ!

「論理(ロジック)はオンリーになってロンリーなんて言わせないよ!」

子供の僕には父親の言う事が分からなかったが、この無職の父親がスマホゲームに夢中になって実況者でぇす!とはしゃいでいるのは何となく分かっていた。

富美雄のくせに。
そんな父親に言われるがままのおばあちゃん。

僕の大好きなおばあちゃん。

おばあちゃんに恩返ししたい。
何かプレゼントしたい。
そう考えた僕は、途方に暮れた。
小学一年生に出来るプレゼントなんて肩たたき券発行くらいだ。

去年の肩たたき券をおばあちゃんは有り難がるだけで使ってもくれない。

 

じゃあ、あんま機をプレゼントしよう。確かお母さんがあんま機を2台持ってたはずだ!新しいの買ってもらったから古い黒いあんま機はもう要らないって言ってたはず。

僕は両親の寝室に忍び込み、お母さんの肩たたき機を手に取った。

「なんでこの肩たたき機はくろいの?」
「それはね、黒い方が逞しいからよ」
「なんでこの肩たたき機はお顔があるの?」
「それはね、お顔がある方が愛しいからよ」

そんなお母さんとのやり取りを思い出す。
たしか、箪笥の1番上の引き出しにあった筈。
風呂敷に包まれた黒いお顔つきの肩たたき機。
おばあちゃんは喜んでくれるかな。

 

僕の差し出した肩たたき機をみて、とても喜んだおばあちゃん。

これはいい振動だねと肩に押し当てて「気持ちいい、気持ちいいねぇ」と言っていた。

子供の僕にはおばあちゃんの微笑みが少しぎこちなかった事など気づく由もなかった。

ばあちゃんは、去年死んだ。

痴漢で捕まり、高校中退した時も。
おばあちゃんだけは僕を見捨てなかった。

亡くなる前日、病院のベットでの言葉。

「丸ちゃんは良い子ね。真っ直ぐに、真っ直ぐに生きておくれよ。おばあちゃんは先に行くけど、天国で見守ってるからね」

「あの肩たたき機を、天国にも持って行きたいから、棺のなかに一緒に入れてね」

正直、そんな昔のことは忘れていた。
肩たたき機を贈った記憶だけは微かにあったが。
そしておばあちゃんは、微笑みながら旅立った。

お通夜の日、おばあちゃんの荷物を整理した。
おじいちゃんの写真、お気に入りの着物。
そして…肩たたき機を探さねば。
何処にあるんだろう。

それはおばあちゃんの化粧台のなかにあった。
大事そうに風呂敷に包まれて。

何処からどう見てもまごう事なきこけしです。本当にありがとうございました。

こんな物をおばあちゃんに持って行かせるわけには行かない。神様に叱られてしまう。

「ごめんね、おばあちゃん。これは形見として僕がもらって行くね。肌身離さず持ってるよ。」

これは僕の性剣エクスカリバー。
何があっても、このエクスカリバーを見れば、乗り越える事ができる。おばあちゃんが天国から見ているから!!

丸丸は唖然とした。

そんな大切な性剣エクスカリバーで、哲夫の頭を背後から打ってしまった。嫉妬、不安、悲哀、欲情。様々な感情が入り混じる。

怯える良子に弾丸丸は話しかける。

「おばあちゃんは、エクスカリバーを使ったのかな?ブ~んて。」

衝撃でスイッチの入ったエクスカリバーの振動音だけが、朝早い動物園に鳴り響いていた。

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