まほらま創設〜世界一位を獲るまでの軌跡

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おはようございます
あっちゃん( @AcidmanTener)です!

今回まほらま創設からクランレベルレース世界一位をとるまで。そちらをお話ししていきます。

かなり長いです。休憩をはさみながら読むことをオススメします。

もしかしたら気分を害されるかも知れません。そのときは読むのをおやめください。申し訳ありません。

 

まほらま誕生

2015年。年明け。俺はある放置クランを乗っ取り自分のクランをたちあげた。

名は『まほらま』

放置クランから連れだしたメンバーは30数人。ふつうのクランでは考えられないほどのスピードで発展した。

クランの方向性は『楽して勝つ』

つまりマッチング調整クラン。実力がない者であっても勝利をわかちあう事ができるよう。そんな願いをこめてつくった。

実力がなく。勝利をわかちあいたいもの。

それは俺の右腕の『S』だった。
Sは40〜50代のナイスミドル。
テレビ局につとめるお偉いさん。

グラビアアイドルをこよなく愛するヘンタイ紳士。

Sはリアルでどんなに大きな事件があっても「クランの運営には支障をきたさない。大丈夫」といって聞かないようなバカヤロー。

くわしく書くことはできないが本当に人生を左右するような大事件が起きた日。変わらずSはクランにいてくれた。

Sはサブリーダーとしてリーダーである俺と同じ仕事量をこなしてくれた。
いや俺を超えていたかもしれない。

クランルールをブログで作成してくれたり、新人さんがきたらやさしく手ほどきしてくれたり。いろいろだ。

クランは面白すぎるほどうまくいった。

当時の俺のマッチング調整は『無理矢理トップ同士のタイマンに持ち込む』というもので

俺がナンバーワンでTH9カンスト
ナンバーツーはTH9の戦略的はやあげ

それ以外はTH8よりも下。このバランスをできる限りキープした。

マッチング調整は軽く見られておりライバルは居ない。
対戦相手は早あげをしている人たちばかり。

勝率は100%。

「これどうやったら負けるんだろうな」

Sとそんなことを話していた。

クラメンとバカ話をし。ひたすらに笑いあった。みんなを放置クランから出してあげてよかった。俺は心からそうおもった。

しかしそんなまほらまのすべてを壊す出来事が起きてしまう。

 

クランレベル制度導入

2015年。春。
ある大型アップデートがおこなわれた。
クランレベル制度の導入。

信じられないほど豪華な特典。
クラクラプレイヤーたちの目の色が変わった。

俺はクランレベル制度の穴に気がつく。

「これって俺たちスゲェ有利じゃね?」

そうなのだ。
クランレベル制度の穴。
それは『マッチング調整』

50人対戦であり
9割勝てる戦略

これはクランレベルの経験値を稼ぐにはうってつけの戦略だった。

さらにいうとまほらまがおこなっているのは一般的な自分たちより弱い相手とあたるマッチング調整ではなく弱いクランそのものとあたるマッチング調整。

一般的なマッチング調整はふつうのクランの中に戦略的はやあげをまじえたもの。自分たちと比較して弱い相手とあてるのが目的。

この調整は係数がかたよることがありライバルも多い。マッチング的には有利だが実力的には不利なときもある。

マッチング調整クランの最大の敵はマッチング調整クランだ。もし係数のかたよりが裏目にでた場合。絶対に勝てない相手とあたることもある。

しかし。まほらまのマッチング調整は弱いクランそのものとあたるというのがコンセプト。係数にかたよりが出て相手にTH10が居たとしても。カンストしていることは無く。実力の差で勝てる場合がほとんど。

『タウンホールレベルを抑えなければならない』という特殊なクランルール。これが同じでなければ実力が互角のクランはまずあらわれない。そんな調整だった。

しかしクラクラプレイヤーはバカではない。人もクランも数えきれない。

クランレベルが導入されたことにより後にライバルが激増してしまうのだ。

 

まほらま。クランレベルレースに参加

まほらまがクランレベルレースに有利だと気づいた俺。
まず最初におこなったのが『鎖国』。

クラメンには「マッチング調整について絶対に外部にもらすな」と指示。

そもそもマッチング調整を理解できる人が少なかった。まほらま特有のマッチング調整であればなおさら。でも念のためだ。

グローバルチャットでクランレベルの高さを利用しクラメンを集めた。しかしどうやって経験値を稼いでいるのか聞かれても絶対にこたえなかった。

そうやって着々とクランレベルをあげていくまほらま。ヒートアップするクラメンたち。

見えてきたのは『世界』。

まほらまは実況動画や海外のサイトにクランレベル上位者として紹介されるようになっていった。

 

浮かれる者とモノおもう者

まほらまの意識は完全にクランレベルレースへと移行していた。
グローバルチャットで「ザコ狩り」などと言われ傷つく者。
過酷なレースにつかれ脱落する者。

たくさんのメンバーがあらわれた。

そんななか俺はリーダーでありながら『世界一位』をどう狙うかにおもきを置きすぎ。あるメンバーの悩みに気づくことができなかった。

そのメンバーとはS。

俺は今まで参加してきたクランの経験上。リーダーがたち止まってはいけない。メンバーを世界に連れていくのが俺の責任だとがむしゃらに動いていた。

その道のりで脱落していった者たちへの配慮。これが足りなかったのだと思う。

Sがいう。

「あっちゃんがなにを考えているのかわからない。くわしく説明してほしい」

テキトーにでもSに話を合わせるべきだったのかもしれない。

「うまく説明できない。察してほしい。」

そういって2ヶ月間一緒に笑いあったメンバーを「対戦攻め残しのためキックします。ごめんね。」と蹴る。

そいつはSとすごく仲の良いメンバーだった。

Sがいう。

「あっちゃん、クランレベルは確かに大事だけど。俺はいまのまほらまは好きじゃない」

すこしでもSの言葉に耳をかたむけるべきだったのかもしれない。

「ごめん。俺も余裕がない。こいつは実力がないのにタウンホールを上げた。クランに残すとガンになる。ごめん」

そういってチャットをにぎわせてくれたメンバーを「ルール違反のためキックします。すみません。」と蹴る。

そいつはSとすごく仲の良いメンバーだった。

ひとり蹴るたびに神経を使う。
けれど結果はただの赤文字だ。
そこに感情はのってくれない。

クランを守るのか。メンバーを守るのか。

メンバーがクランをつくるのは間違いない。
しかしクランの軸がブレるとメンバーが守れない。

方向性を見失ってはそれは『まほらま』ではない。
付いてきてくれている人たちに失礼だ。

当時のまほらまはいったいどんなクランだったのだろう。

Sは対戦で攻め残した。

 

リーダーとしてのわかれ道

当時のまほらまにはSの他にサブリーダーが複数いた。
前のクランから連れてきた信頼できるサブリーダーたち。

そのうちのひとりが『麺D』。

麺Dはまほらま結成から数ヶ月経った日。リアルの先輩である『ホルス』を連れてきた。
このふたりは未だにまほらまにいてくれている。

当時のホルスは俺の左腕。

ホルスがいう。

「Sさんはどうされますか?」

「攻め残したね…これは…」

俺の中でいろいろなおもいが駆けめぐる。

Sのためにつくったクラン。
でもSはルールをやぶった。
俺は…

「すこし様子を見よう」

ホルスはホッとしたような感じで「わかりました」と告げた。

俺は師匠のクランのことを思い出していた。

『ストイックになりきれないクランの現状に嫌気がさす』

俺は。

俺はもし。

まほらまにあのときの俺がいたとして。

そいつが「なんでSさんを蹴らないんですか?」と聞いてきたらどう答えるのだろう。

納得のいく説明ができるのだろうか。

いまのまほらまに「Sを蹴ろう」というやつは居ない。

でも。ここでルールをやぶったら俺が今まで蹴ってきたやつらは…。

クラクラ人生最大の選択をせまられた瞬間だった。

「次に攻め残したら蹴るよ」

チャットで打つとなんて薄い言葉なんだろうと俺は思った。

そして、次の対戦。

Sは攻め残した。

クランには「Sさんがあっちゃんにキックされました」の赤文字。

たったそれだけだった。

 

バーチャル逃避

俺は気が狂いそうだった。
なんのためにこのクランをつくったのだろう。

それでもクランレベルレースは止まってくれない。
俺たちが戦略といって蹴り落としてきたやつらが後ろからせまってくる。
恐怖。

40数人分の想い。期待。
重圧。

悩むヒマもなく続く対戦。
俺がミスったらクランが負ける。
対戦の開戦もそうだ。
俺がやらなきゃ。
Sはもういない。
新人の育成についてもそうだ。
俺がやらなきゃ。
Sはもういない。
グロチャの勧誘もそうだ。
俺がやらなきゃ。

Sは俺が蹴ったからもういない。

アラームをセットし。
夜12時に寝て。
朝4時に起き。
負けられない対戦を終え。
開戦ボタンを押す。
時刻は朝5時。

明るくなってゆく空。遠くなる意識。

アラームを7時にセットし。
また寝床につき。
朝9時から始まる仕事について考える。

ゲームから逃げるために仕事のことを考えていた。

 

言葉の限界とクラメンの不信感

Sを蹴ったことはまほらまに大きな衝撃をあたえた。
クラメンにとってSはあっちゃんの右腕。
俺も鼻高々にそういっていたし。
実際にSがサブリーダーであることは俺にとって誇りだった。

でも蹴った。

対戦で攻め残した。それだけで。
なんのためらいもなく。

見えたんだろうな。

ツラくてツラくて仕方がないのに。
言葉にしても薄くて。
「いつか帰ってきてほしいね」
そういう言葉もどこか薄っぺらい。
でもどう言えば良いのかわからない。
たち止まることなんてできない。

まよう姿をさらけ出せば良いのか?

Sが居なくなってショックなのは俺だけじゃない。そんなの他のメンバーを蹴るときにだってわかっていたことだ。周りがかなしむことを承知でたくさんの人を蹴ってきたんだろうが。

俺がまよって良い理由にはならない。

一メンバー視点の俺が俺にいう。

「あいつは薄情なリーダーだ。」

後ろ指をさす。
それでも俺はそのメンバーさえ守る。

俺はリーダーなんだ。

俺はSの抜けた穴についてなにか早急に手を打たなくてはならなかった。

 

支部の作成

2015年梅雨いり前。
まほらまはある問題に直面していた。
クランチャットが使用不能になったのだ。

クラクラのユーザーは星の数ほどいる。
その中でクランレベル世界TOP10。

世界中からまほらまに参加申請が届く。

5分で埋まるクランチャット。

参加申請
参加申請
参加申請
参加申請
参加申請
参加申請


後のアップデートで参加申請が5個たまると外部から接触ができなくなる。しかし当時はいくらでも参加申請がたまる仕様だった。これではクランチャットが使えない。

やむなくクランの設定を『参加不可』に。

しかしまほらまは『マッチング調整クラン』。
参加させるメンバーは選ばなくてはならない。

グロチャで宣伝するもライバルが多すぎて話にならない。直接勧誘をしないと欲しい人材をいれるのは不可能なのだ。
「クランレベルが高すぎてこわいです」

そう言われることもあった。

このままではジリ貧。

そこで俺はある計画にかけた。

『支部の作成』

リスクは重々承知していた。

でもやらなければメンバーは絶対に集まらない。ゆっくりと毒がまわるようにまほらまは死ぬ。

俺は支部の作成を決意した。

 

マッチングの係数の変更。それともマッチング調整クランの流行。

俺が支部をつくる決意をしたころ。
まほらまのマッチングはおかしくなっていた。

「相手にTH10のカンスト…?」

そんな対戦がたて続けに起こったのだ。

クラン内に問題があるとは思えない。まほらまは『タウンホールに制限』をかけている。

TH9カンストひとり。
TH9の戦略的はやあげひとり。

このバランスでやってきたのだ。

Sの穴はサブリーダーに埋めてもらっている。
係数がおちることはあれど上がることはない。そのはずだった。

でも今は…。

俺はあらゆる可能性を考えた。マッチングの係数の変更。タウンホールがマッチングに与える影響。クランレベル制度によるマッチング調整クランの増加。
そしてどの可能性であれ。その中でもっとも勝率が高いのは。

TH10の戦略的はやあげを作ること。

それしかないと思った。
それについてのデータも今までのクランの経験上わかっていたからだ。

『TH10に強いやつはほとんど居ない。いるとしたらガチのクランだけ。』

TH10をここまでピーキーにしてしまったのはインフェルノタワー。そして重課金勢。

まずインフェルノタワー。こいつは強すぎる。

逆をいえば戦略的はやあげを作る場合。こいつの係数は気にしてはいけない。
こいつさえいれば大抵のTH10には勝てるのだから。

なぜならそう。重課金勢。師匠のクランにいた40代のおっさん。そいつは異常によわかった。金をかければ強くなれると思っている人たち。
そうだ。ガチ対戦クランからあぶれたTH10なんてあんなやつばかりだ。
大丈夫。

俺はすぐにまほらまの再生計画に着手した。

 

襲いくるリアル

まほらまの支部を作成。本部をホルスに一任。TH10への着手と支部の運営にまわる。

負ける本部。
離されるクランレベルレース。

負けるたびにチラつくまほらまが蹴落としたクランたち。俺が蹴ってきたやつら。

焦ってもどうすることもできない。
考えないようにしないと気が狂いそうだった。

まほらまの支部にはサブアカウントを10個ちかく持つサブリーダーがいた。そのおかげでとても快適だった。

もの凄いはやさで上がるクランレベル。
そんなときリアルの方である事件がおこる。

上司がクラクラを始めたのだ。

そして

「おまえ強いらしいな。よし、入れ」

めまいがした。

俺は逃げた。ギリギリまで。
でもムリだった。

上司がクランを作成してひと月あまり。

俺は捕まった。

 

上司のクラン

「みんなごめん。上司がクランをたち上げてそこに行くことになった。必ずもどるからそれまでクランを守っていてほしい。ひと月で戻る」

クラメンの反応は薄かった。でも。

不満があるのだろうな。ということだけは感じた。

バーチャルとリアル。どちらが大切かは明白だ。それでもリアルをぶん殴ってまほらまに戻りたかった。

上司のクランに行くと後輩が「来たかったんでしょ〜?」と声をかけてくる。
冗談とわかっていてもかえす余裕がない。

上司のクランはそれは酷いもので。

上司は「スマホゲームなんて金をかければ強くなれるから楽だよな」そんな事をいう人だった。イヤな予感。

上司の村を見る。

あっ…。

ジャイアント、ヒーラー、ウィザード、ドラゴン、バルーン…

レベルがあがっているのはほぼこれだけのTH10。防衛施設は立派なものでインフェルノタワーやクロスボウはレベルMAX。

終わった。
係数が狂いまくっている。

せめてこれが逆だったら…。

上司は戦術が低タウンホールで止まっていた。インフェルノタワーにジャイヒーをするようなやつだった。

クラクラはタウンホールがあがればあがるほどむつかしいゲーム。
課金すればするほど求められる技術も増えていく。それなのに…。

来た当初は「勝つためのコツを教えてください」そんな歓迎ムードだったが

1週間とたたず「教えてくれてありがとう派」と「なんでゲームのためにそこまで派」に別れ。空気は最悪。

帰りたい…。

「あっちゃん!本部がピンチ!指示をください!」

そうやって上司のクランにサブリーダーがしょっちゅう来る。

「どんだけだよ」

上司に笑われる。

どんだけかわからねぇから呼んだんだよな。このはき溜めに。

たかがゲームごときにここまで憎悪している自分におどろきながらも。うすら笑いで返した。

「上司のクランがひどすぎる」

そのこともクラメンに逐一話した。
それがどれだけ伝わったのかはわからない。

「俺たちをおいて楽しんでるんじゃないですか?」

一メンバー視点の俺が俺にいう。
◯してやろうか。そう思った。

 

上司のクランから脱出

上司のクランにはいる前から俺と先輩はクラクラについて話しあう仲。

先輩も上司から強引にクランに入れられたクチでどうにか脱出しようと考えていた。

「俺がクランをつくるからお前はそれについて行くって言え。一緒に出よう」

上司のクランは完全に『エンジョイ勢』と『ガチ勢』にわかれイヤなムード。
上司は対戦を不参加にしてクラクラをあつかってすら居ないようだった。

上司が飽きはじめ。次の開戦ボタンが押されるまでの数時間。出るなら今このタイミングしかない。

俺は先輩の案にのった。

そして無事。脱出。

先輩から「そのまま本当にうちのクランに来いよ」と言われたが

「飯おごりますんでサーセン」と返した。

「冗談だよ。でも飯はおごってもらう」

その後本当に後輩におごらせてくれるあたり先輩らしい。これで俺は気がねなく自分のクランに戻れるのだ。

本当に感謝してもしきれない。

 

トラブルは続く

まほらまに帰還した俺。
正確にはまほらまの支部にだ。

やっと帰ってこれた…
泣きそうだった。

さっそく状況の確認をする。
まほらま、まほらま〜摩天楼〜(支部)ともに良い感じだった。

あぁよかった。死んでなかった

今まで俺が出会ったクランとまほらまはちがう。まほらまは強い

本当によかった

メンバーひとりひとりに感謝した。

しかしここである問題が発生。

俺はリーダーとしての威厳がなくなっていた。

ムリもない。ひと月も出ていたやつが急に組織のトップになるのだ。
指揮系統に混乱が生じる。

SNSなどで指示はだしていたものの。それは俺の言葉ではあるが『声』ではない。すぐに慣れろというほうが無理だ。

そして最悪なことに支部を任せていたサブリーダーがあきらかに俺のいうことを聞かなくなっていた。そう。あのサブアカウントを10個ちかく持つやつだ。

「防衛援軍にホグを入れてー」

「ホグはおかしいだろ。アチャウィズでたのむ。」

「このクラン辞めます」

「は?」

信じられない話だが本当にこれで出て行った。
防衛援軍にホグ?アカウントをたくさん扱いすぎて頭がどうかしたのだろうか。

ひと月クランの長としてやってきた彼にとって。ほかの人から指摘を受けることは耐えがたいものになっていたのだろう。

だが問題は別にあった。

支部の質の低下と俺への信頼だ。

外部にいっていたやつが帰ってきて早々に問題を起こした。
この事実はダメだと感じた。

一メンバー視点の俺がナイフを待って立っている。

結果でしめすしかない。

俺はファーミング、本部の指示だし、支部の管理、新人の育成、勧誘。これらをひとりですることを決意した。

 

また襲いくるリアル

2015年真夏。

限界だった。
精神も肉体も。

今日は何時から何時まで寝れるだろう。
そんなことを出勤前に考える。

祈るような気持ちで本部のマッチングを見る。
大丈夫。ホッと肩をなでおろす。
でも2日後にまたこれを繰り返すのだ。
俺がきちんとした戦略的早あげになるまで。

格上とマッチングしたら?
サブリーダーがまた抜けたら?
新人の補充が間に合わなかったら?

終わりだ。

幸いなことに本部は順調だった。
サブリーダーたちが寝る間を惜しんで守ってくれている。

ありがとう。

しかし支部はあきらかなパワーダウン。
ムリもない。確実に星をとる人が大幅に減ったのだから。
援軍も出さなきゃならない。

ファーミング、援軍だし。
勧誘。育成。
ファーミング、援軍だし。
勧誘。育成。
ファーミング、援軍だし。
勧誘。育成。
ファーミング、援軍だし。
勧誘。育成。

 

「おい!!!!」

 

先輩の声でハッとする。

「おまえボーッとしすぎ。」

「すみません…」

「立って寝てた?」

先輩が笑う。

そうかも。あながち冗談じゃねぇな

 

あれ?なんだこのハエ。

は!?おい!いすぎだろ!

なんだよコレ!

 

「おい!どうした!!」

 

ここで意識が途切れた。

 

肉体よりも…

目がさめると職場の休憩室にいた。

あれ?

脇の下に氷まくらがはさんである。

あっ…。

俺はさとった。

「おっ、気がついたな」

上司だ。

「熱中症だってよ」

「すみません…運んでもらっちゃって…」

上司の顔がくもる

「おまえ今日休め。いや明日まで休め。」

「えっ?」

「おまえ片ひざついて動かなくなってさ。人に肩借りながらだけど自分でここまで歩いてきたんだよ。覚えてねぇのか」

ウソだろ…覚えてねぇよ…

「で、横にしたらそのまま寝た。氷まくらは俺がはさんどいた。」

「すみません…」

情けない…
なにやってんだ俺…

「この前ウチとは別のセンターで熱中症で亡くなったやつがいる。今ウチで熱中症のやつが出たらヤバイ。死なれるともっとヤバイ。わかるな?」

「はい…」

俺は帰路についた。
頭の中はクラクラでいっぱいだった。

この間に支部の人数を増やさなきゃ…
あいつにコレを教えなきゃ…
本部のマッチング大丈夫かな…

先輩が帰りぎわにくれた栄養ドリンクで目をさます。

スーパーによってスポーツドリンクと2日分の食料を買いこむ。

ひとの善意や他人への迷惑をすべて踏みにじって。俺はクラクラを起動した。

 

ようやく…

インフェルノタワーが完成。ユニットもそこそこ育ってきた。
イケる。

ヒーローレベルは低い。しかし星2個は確実にとれる。

俺は本部に復帰した。

まほらまの新しいマッチング調整が完成。
これが時代にあわせた最高の調整。

いろいろあったがクランレベルレースはTOP10をキープしている。

大丈夫。まだ戦える。

対戦は9割負けなくなった。

 

クラクラと私

「またクラクラ?」

彼女に言われる。

「ごめん、対戦だけ攻めさせて!」

そういって家でも外でも隙あらばクラクラ。

つきあい始めて1年と半年。
週に一度のふたりだけの時間はクラクラに侵食されていた。

「一緒にごはんつくろう」

「ごめん!あとひとり新人を入れなきゃならない!ちょっと待って」

新人の勧誘に成功し。俺がクラクラからテーブルに目を移すと。
美味しそうなごはんが並んでいた。

彼女は俺の横で眠っていた。

「眠っちゃったのか…」

俺は彼女のスマホに無理矢理インストールさせたクラクラを起動。

彼女に会う日はデバイスがふたつあるから運営が楽な日。
俺は完全に壊れていた。

 

私とクラクラ

「あっちゃん、お願いがあるんやけど」

ん?と俺は彼女に聞く

「クラクラやめたい…」

は?

何を言ってるんだとおもった。
彼女はほとんどクラクラをあつかわない。
アカウントは確かにあるがそれは数合わせだ。
負担なんかないはず。

俺なんか四六時中やってんだぞ。

「なんで?そもそも元からやってないようなもんじゃん」

「そうやけど。たまにチームがピンチだから攻めてって言われるやん?それがキツくて…」

彼女は頭がいい。
サイドカットをはじめドラゴンラッシュについて教えたらすぐに覚えた。
この子は出来る。その意識が自分でも気づかないうちに彼女に負担をかけていたようだった。

彼女とのラインの履歴。
対戦相手の画像とこまかい指示がそこにはあった。

彼女は俺がクラクラをどれだけ好きかを知っている。
まほらまをどれだけ愛しているかを一番近くで見ている。

その彼女が「クラクラをやめたい」。

このひと言をいうのにどれだけの勇気を要したのだろう。

「わかった。じゃあ対戦がピンチでも絶対に攻めさせない。だからアカウントだけは残してくれないか?管理に支障がでるから」

「わかった」彼女はポツリとこぼした。

そしてそれ以上俺に何も言わなかった。

クラメンの重圧、彼女への申し訳なさ、俺はいったい何をしているんだろう。

カレンダーを見てみる。

秋。

もうすぐ彼女の誕生日だった。

 

クラクラをやらない日

2015年の春。
俺と彼女は東京ディズニーランドへ旅行にいった。
その日は俺の誕生日で彼女は数々のサプライズをしてくれた。

男泣きして笑われたっけ。

その時はまだクランレベルレースが始まったばかりでマッチングも狂っていなかった。

純粋に楽しめる幸せな時間。

帰りに俺は「おまえの誕生日には大阪のUSJにいこう」と約束をした。

そして2015年の秋。

「ごめん、飛行機のチケット取らなきゃね」

「もう私が取ったよ」

「じゃあホテルの予約と当日の段取りを…」

「ラインのノートに書いてあるよ」

ボロボロだった。

もともと彼女の方が圧倒的に要領がいい。
こんなギリギリで準備をしようというのがそもそも間違っている。

情けない。

自分ができること。
それは当日。彼女の前でスマホをあつかわないこと。そんなことしか今の俺にはできなかった。

 

旅行の思い出

大阪は良い。
地元の福岡も食べものは美味しい。しかし土地が変わればモノも変わる。

経験したことのない美味しいモノと。ひとひとひと。ひとの波。

そして日常とかけ離れた夢の国。

ユニバーサルスタジオジャパン。

今日は絶対にクラクラをあつかわない。
クラメンにも前々からそう話していた。

対戦は朝のうちにすませ意気揚々と出かける。

一メンバー視点の俺も口を出さなかった。

年パスを買って何度もでたりはいったり。

「もう元取れたね!」

「なに貧乏くさいこと言ってんの」

「あっちゃんより稼いでるもん」

「おいやめろ!!」

一泊二日の旅行は最高に楽しかった。

そんな時。
アトラクションの待ち時間に彼女がいう。

「あっちゃん、クラクラやっていいよ」

えっ?と彼女の方をみる。

「やっていいよ」

態度に出さないつもりだったけど出ていたのだろうか。いや。きっとちがうな…

俺は彼女の言葉に甘えて援軍だけ詰め込んだ。ありがとう。

クラメンから「デートに集中しなさい」と怒られた。俺もそう思うよ。ありがとう。

開国

2015年初冬。
まほらまは有名であり。有名ではなくなっていた。

クランレベルはひとつ上がるごとに求められる経験値が増えていく。
つまりクランレベル上位者と一般的なクランとの差がわからなくなっていく。

クランレベルが上がった直後はエサを求める鯉のごとく海外から参加申請がやってくる。
しかしクランレベルが上がる直前はかんこ鳥が鳴く。そんなことになっていた。

そのくせグロチャに出ると「マッチング調整クランの。」と言われる。

このころには一般的なプレイヤーにもマッチング調整とはなんなのかが認知されていた。

隠しているほうがデメリットなのでは?俺はそう思いはじめる。

ならば策だ。

俺は情報をあつめるために使っていた『Twitter』を発信するために使うことを決意した。

その日のうちにフォローを500人以上増やす。
まほらまのサブリーダーにも「鎖国はやめる。クランは宣伝する方向へきりかえる。フォローも増やしている。」と報告。

これだけではパンチが弱い。

やるなら徹底的にやらねば。

俺は『マッチング調整について』をまとめ。
それを固定ツイートに貼りつけた。

フォローも5000人(限界)まで増やした。

 

ゆるさと熱さのハイブリッド

クラクラとのつきあい方を考える俺。
今年の俺はふつうじゃない。
周りに迷惑をかけてばかりだ。

まほらまは確かに大事だけど。でも…

温かいごはんと。彼女の眠る顔が脳裏をよぎる。

俺はクラクラからすこし離れることを決意した。クランレベルレースをあきらめる訳ではない。本当に必要なときにだけインをしよう。リアルに支障をきたさないようにしよう。そう決めたのだ。

この決意にいたったのにはある理由がある。まほらまの支部にTH10のカンストさんが入っていたのだ。

彼にナンバーワンを任せれば俺の負担を減らすことができる。
減らさないとダメだ。

サブリーダーたちもTH10のカンストなら相手から全壊されることはほとんどないとわかっていた。
そしてなにより。そのTH10のカンストさんはそこらへんのザコとは違い。星を取ることができた。

イケる。

マッチングに不安はのこるものの負担については軽減された。

 

長いレースのおわり

2015年。年末。
いよいよレースの終わりが近づいてきた。
一位は確実にムリだった。
トップとの差が対戦ひとつ分開いていたからだ。

クランレベルレースにおいて許容される差はすくない。すこしでも離されるとよっぽどのことがない限りくつがえすことができない。

まほらまはトップと逆転不可能なほどの差がついてしまっていた。

でも。それでもよかった。
仲間と共に走ってきたレース。

最後までやりきろう。くさらずに。

クリスマスを直前にひかえた日。
まほらま。クランレベル10到達。
クラメンたちとおおいにわいた。
終わった。走りきった。

いろいろな感情がわきあがる。スマホを握りしめ目頭があつくなる。

その後のまほらまについて俺は計画を進めていた。

本部のリーダーを降りよう。
そしてまほらまをマッチング調整クランからガチ対戦クランに変えるのだ。
そのためにツイッターで情報を流す。

『まほらまは生まれ変わります!』

すべては順調。

俺は支部でもう一度マッチング調整をはじめてサポートにまわる。俺のアカウントは戦略的早あげとしては優秀だが。それゆえにガチ対戦クランでは邪魔になる。

生まれ変わったまほらまよ。今度は『対戦にまほらま有り』を見せつけてやれ。

そう思っていた。

「あっちゃんさん、これどういう事ですかね…」

サブリーダーが俺にいう。

俺の計画はすべて泡ときえる。

 

クランレベルレース延長戦

クラン経験値のカウントを見てみる。

ストップしていない。

「まさか…」

まったく想定していなかったわけではない。
そうならないで欲しいとの願望が俺の判断をにぶらせたのかもしれない。

クランレベルレースはまだ続いていた。

「まほらまをガチ対戦クランにする計画どうします?」

サブリーダーがいう。

「…」

俺は考えた。
今までの経験にヒントを求めて。

「現状維持で。」

今ここで決断してはいけない。これはクランの今後にかかわる。

とりあえず情報の整理と収集だ。

俺はまほらまがどういうクランなのかを思い返し。
そしてクランレベルレースを続けるチームがどれほど居るのかを調べた。

悩んだ末。

まほらまはマッチング調整クランを継続。

新しくまほらま〜黎明〜というオーディション兼ファーミングクランを作成。

まほらま〜摩天楼〜をガチ対戦クランとする。

という結論にいたった。

 

続投の理由

なぜまほらまはクランレベルレースに残ったのか。
それは創設当初の方向性を変えてはならない。
そんな気持ちもあった。しかし一番の理由は

クランレベルレースを続けるチームがすくない

との情報を得たからだった。

クランレベルの特典は10までしかない。
クランレベルレースをつづけるにはメリットとデメリットが釣り合わないからだろう。賢明だ。

しかしこれはチャンスだ。

学部は関係なく『東大』という肩書きをもっていれば就活を有利にできる。

それと同じ理論だと思った。

ジャンルは関係なく『世界一位』という肩書きをもっていればクランにとっておおきなチカラになる。

俺はそう考えた。

1からプランをたてなおし新しい支部『まほらま〜黎明〜』を作成。マッチング調整クラン。ガチ対戦クラン。オーディション兼ファーミングクラン。必要なカードはすべて揃えた。

そして。

まほらまはクランレベル11から世界一位となる。

 

世界一位としての誇り

世界一位をとってたくさんの意見をいただいた。

クランレベル10より上は意味ないだろ。そんなの続けて楽しいか。

きびしい意見は多い。でも

日本のためにこれからも頑張ってください。

ある日そう言ってくださる方と出会い。これはもうまほらまだけの問題じゃないんだと気づかされた。

そう言ってくださる方たちの想いも一緒に世界に連れていこう。夢はまたひとつ大きくなった。

俺は今本部の運営にほとんどたずさわっていない。優秀なサブリーダーたちのおかげで係数が狂うことはなくなり。安定して世界一位を守ってくれている。

その分俺はグループ全体の地盤をかためあらたな道を開拓していく。ひたすら前に進んでいく。

覚悟を決める。

 

さいごに

クランレベルレースで世界一位を目指していたころ。何度逃げだしたいとおもったかわかりません。正気を保てていたのか自信がありません。

だからこそ俺は。ジャンルは違えど同じく世界を目指したレガンダリーズさん。倭文組さんに共感してしまう部分があるのだとおもいます。

世界をめざしたこともない奴が世界を語るな。

本当にこれだけは言いたい。言わせてください。

まほらまはクランレベルレースと並行し対戦にもチカラを入れていきます。つらかったけど。でも。まだ先に行きてぇ。

今度は対戦であばれまわります。

興味がある方は『まほらま〜黎明〜』までお願いします。

そしてみなさん。これからもどうぞよろしくお願いします。

以上。今日も実りある日になりますよう

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